2022/04/03 「感謝を捧げる決心」詩編9:1-13牧師 古屋 治雄

ー受難節第5主日ー

詩編9:1-13
牧師 古屋 治雄

◇4月第1主日、今年度の標語聖句を通して神様の言葉を聞こう。この聖句は最大級の賛美と感謝を歌い上げている。しかしそれは作者の経験から出たものではない。この詩編の後半を見ると、「憐れんでください、主よ」(14節)、「立ち上がってください、主よ」(20節)と神様に悲痛な懇願をしている。人間の思い上がりに苦しみ、神様の正義と公平がなされていない、その状況を嘆き、神様に訴えているのである。

◇私たち人間は、喜ばしい経験をすれば神様に感謝する。それは自然なことである。逆境にあるとき、「こんなに苦しい時に感謝することなどできるはずがない。」と考えてしまう。しかしこのような考えは改められなければならない。信仰者は、困難な時にも感謝できるのである。

◇旧約の民は、神様の権威の下に王国を打ち立てた。真の王は神様であるという前提があった。しかし歴代の王たちは神様への信頼を忘れ、地上の支配力に頼り、近隣諸国の間での生存戦略に明け暮れ、ついに王国は滅亡に至った。私たちは、神様の権威がどこに示されるかを知らねばならない。虐げられている人(10節)、貧しい人の叫び(13節)、乏しい人(19節)に、憐れみとして注がれ、安んじて生きることができるようにしてくださるのである。神様の正義と公平は未だ実現していない。しかし神様は必ず実現してくださる。私たちはすでに感謝へと招かれているのである。イエス様は弟子たちに、「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている。」(ヨハネ16章)と勝利宣言をしてくださった。そして十字架と復活のできごとにより現実の勝利としてくださったのである。

◇人類は今、コロナに翻弄され、戦争による殺戮が繰り返されている。地上には不正がはびこり、教会にもさまざまな課題があり、その一人ひとりにも困難や破れがある。しかし私たちは、神様の「驚くべき御業」を知っている。それらを賛美し、すべて語り伝え、「感謝を捧げる決心」をもって2022年度を、そして100周年へと歩もう。