2024/12/29 「天の国を伝える者を招く御子」マタイによる福音書4:12~22 牧師 古屋 治雄


◇街ではクリスマスの飾り付けが正月飾りに替わっているが、教会はクリスマスに到来した主イ
エスと共に新しい年の歩みに向かう。クリスマス物語に登場する人々はその後の生き方を変えら
れたであろう。マリアとヨセフは幼子を守るためにエジプトに逃れた。博士達はヘロデの危険を避けつつ本当の世界の王にまみえた喜びに満たされて新しい道を進んだ。羊飼い達も救い主が与
えられた証人となった事を喜び、新しい生き方へと押し出されたであろう。教会外のクリスマスのあり方を批判する向きもあるが、私達も主イエスの誕生に持続的に向き合っているだろうか。


◇今日の聖書箇所は主イエスの誕生から約30年が経過しているが、マタイ福音書ではクリスマス
の物語と主イエスの公生涯は深い繋がりがある。マタイ4:15以下でイザヤ書8章が引用される。「しかし、抑圧された地から闇は消える。/先に、ゼブルンの地とナフタリの地は/辱められたが/後には、海沿いの道、ヨルダン川の向こう/異邦人のガリラヤに栄光が与えられる。」イザヤ書は続く9章で「一人のみどりごが私たちのために生まれた。(略 )その名は/『驚 くべ き指導者、力 あ る神/永遠の父、平和の君』と呼ばれる。」と預言する。これはマタイ4:17「その時から、イエスは、『悔い改めよ。天の国は近づいた』と言って、述べ伝え始められた。」という主イエスの宣教の働きに直結している。

◇続く4:18から主イエスは漁師達を弟子に招かれ、ペトロ達はすぐ従った。御業に必要な要員と
してではない。主に招かれた事自体が天の国の到来を意味している。マリアとヨセフが聖霊の導
きで神の業に参与したのと同じ事が起こっている。そして私達も呼びかけられている。イザヤは
預言する。「私の口から出る私の言葉も 空しく私のもとに戻ることはない。必ず、私の望むことをなし 私が託したことを成し遂げる」。私達は弟子達と同じく天の国が地上で始まっているのを見る者とされ、主の働きを担うよう促されている。