2007/5/20 礼拝説教
「教会の原点」
牧師 大村 栄
マタイ福音書28:16〜20
◇イースター(今年は4月8日)から40日日の先週木曜日17日はキリストの「昇天日」。「イエスは苦難を受けた後、御自分が生きていることを、数多くの証拠をもって使徒たちに示し、四十日にわたって彼らに現れ、神の国について話された」(使徒言行録1:3)。そして下記の伝道への派遣命令を語って昇天された。「わたしは天と地の一切の権能を授かっている。だから、あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい」(マタイ28:18-19)。
◇「権能」は支配力、統治権などの意味。かつて主イエスは公生涯に出る直前に、40日間荒野で悪魔から三つの誘惑にあわれた(マタイ4章)。その第三が「権能」への誘惑だった,これに対して「ただ主に仕えよ」と言って勝利した結果、主は人に拒絶されて十宇架への道を歩んだが、最終的には悪魔が提供するとそそのかした地上のいかなる権威に勝る「天と地のー切の権能」、すなわち生死を超えてあらゆる領域に及ぶ統治権を授かる者となった。
◇信仰による最大の慰めは、私が「生きている時も死ぬ時も…救い主イエス・キリストのものであること」(ハイデルベルク信仰問答)。「一切の権能」を特つ「キリストのもの」(弟子)になることが私たちの信仰生活の目標である。「すべての民をわたしの弟子にしなさい」。弟子として生きる生涯に踏み出す決意をした者に、「父と子と聖霊の名によって洗礼」が授けられ、続いて教えの学びが始まる。「あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい」(20)。聖書の学びは生涯の課題である。
◇「しかし、疑う者もいた(17)。疑うとは心が二つに分かれ、信仰と現実は別だと考えること。主だけを見つめ、信じて歩き出した時は歩けたのに、荒波に目が向いた時に沈みそうになったペトロ(マタイ14:22以下)。しかしそういう者にも「イエスはすぐに手を伸ばして捕まえ」て下さる(14:31)。
◇荒れ野の誘惑に勝利して「天と地の一切の権能」を授けられるに至った40日間を<キリストの原点>とするなら、主が復活後に弟子たちと共に地上で過ごし、その権能を持つ主があらゆる限定を超えた領域にまで弟子たちを遣わされた40日間は<教会の原点>である。「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」(20)と言ってくださる。
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