礼拝説教


2009/8/2聖霊降臨節第十主日礼拝 

       「自分自身のためにではなく」

牧師 大村  栄

IIコリント5:11〜6:2


◇新聞によると最近の自殺者は1日平均94人。鉄道の「人身事故」は日常茶飯事だ。アイデンティティーの確立が出来にくいせいか。パウロもかつて深刻なアイデンティティーの喪失を経験した後に、伝道者となった。その体験を踏まえて、「14:キリストの愛がわたしたちを駆り立てている」と言う。

◇神はひとり子の十字架における死を代償として私たちを罪の奴隷から解放し、さらに復活と共に新しく生きる者として下さった。「15:その目的は、生きている人たちが、もはや自分自身のために生きるのではなく、自分たちのために死んで復活してくださった方のために生きることなのです」。「主のために」、「主のもの」(ローマ書14:8)として生きることを人生の指標とする。ここに聖書の告げるアイデンティティー確立の道がある。

◇これを「17:キリストと結ばれる人」、「17:新しく創造された者」の生き方だと言い、神との関係の「和解」がそれを可能にすると言う。神は、「18:キリストを通してわたしたちを御自分と和解させ」て下さった。神との「和解」を知らず、それゆえに人との「和解」を知らずにいる世界は傷つき、傷つけ合っている。しかし自分を生かし、赦し、愛して下さる神の存在に気づかされる時、世界は被造物としての平和な生き方を見出すのである。そしてその「18:和解のために奉仕する任務をわたしたち(=教会)にお授けになりました」。

◇ジャン・バニエが創立した「ラルシュ(箱舟)」での生活には一つの「内的態度」が必要だと言う。それは「自分が宇宙の中でほんの小さなものでしかないことを知っており、自分のいる場所で献身的に生きるように呼ばれていることを知っている、自分をゆだねた子供の態度である」。それがないと、「人は落胆するか、または自分が何者かであることを立証したいと思うようになる。いずれの場合も、共同体を破壊することになる」とも言う。

◇神の前での謙虚と献身、また信頼を持ち、「自分自身のためにではなく」、「主のもの」として「主のために」生きる者の群れ=教会が、世界の和解と平和を造り出す拠点となれると信じる。

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