礼拝説教


2013/12/22  降誕祭礼拝

「必ず実現する」

ルカによる福音書1:39~56
主任牧師 大村  栄

 
◇ヨセフに天使が告げた受胎告知では「主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった」(マタイ1:22)。御子の降誕は過去の預言の成就であると言う。マリアには、御子が「33:永遠にヤコブの家(つまりイスラエル)を治め、その支配は終わることがない」、すなわち未来に続く神の子の支配が告げられている。

◇ヨセフには過去の預言の成就であると言い、マリアには未来の希望が告げられる。過去と未来をつなぐのが御子の降誕であった。

◇だが過去が未来を支配するのではない。人類の歴史を顧みても、個人の人生を振り返ってみても、もし過去が未来より優勢なら、私たちの未来は楽観できない。過去と未来は等号(=)ではなく不等号(<)で結ばれるのが望ましい。

◇46節以下の「マリアの賛歌」は、彼女の胎に宿った御子は、過去のマイナスを逆転させ、プラスの未来を開く救い主であると歌っている。「51:主はその腕で力を振るい、思い上がる者を打ち散らし、52:権力ある者をその座から引き降ろし、身分の低い者を高く上げ…」。ラディカルな社会変革の歌と言うより、<運命の逆転>による新しい未来を歌っている。主イエスは「貧しい人々は幸い」(ルカ6:20以下)、「愚かな金持ちのたとえ」(同12:13以下)などしばしば<運命の逆転>を語る。しかし最大の<運命の逆転>は、十字架とその後の復活である。

◇主は「54:その僕イスラエルを受け入れて、憐れみをお忘れになりません、55:わたしたちの先祖におっしゃったとおり、アブラハムとその子孫に対してとこしえに」。過去の「先祖」から、「とこしえ」の未来まで、すべてが大きな神のご支配の中にあると讃えている。

◇クリスマスに始まり、十字架と復活に極まるキリストの出来事は、始めからの神のご計画の中に備えられていたのだ。過去も現在も未来もすべてを含めて、「45:主がおっしゃったことは必ず実現すると信じた方は、なんと幸いでしょう」。そういう幸いを生きる者でありたい。

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