2014/2/23 降誕節第9主日礼拝
「生命の贈り物」
列王記下4:18~37
主任牧師 大村 栄
◇エリシャは紀元前9世紀代の北王国イスラエルで活躍した預言者。シュネムに住む裕福な婦人が尊敬するエリシャのために自宅の一室を定宿に提供した。預言者はこれに感謝し、子供がいないゆえの悲しみを秘めている彼女に、「16:来年の今ごろ、あなたは男の子を抱いている」と預言し、予告の通り男の子が生まれた。
◇しかしせっかく生まれた息子が病気で死んでしまう。母は遺体をエリシャのベッドに寝かせて、約25㎞をひたすら歩いて預言者のところへ行く。迎えに出た召使いを振り払ってエリシャの足にすがりついた。エリシャは召使のゲハジを代理で行かせようとしたが彼女は納得せず、エリシャ自らがシュネムまで出向くことになる。
◇彼は部屋の戸を閉じ、主に祈ってから、子供の上に覆い被さった。しばらくすると子供は生き返り、母親は畏れと驚きと感謝に満たされた。
◇ある注解者はこのシュネムの女のことを、「旧約の中で最も魅力ある人物」と言っている。裕福な環境の中で過ごしながらも悲しみを内に秘め、緊急の事態には冷静に最善策を検討し、その実践のために優れた行動力を発揮する。そして訴えるべき時には全力を注ぎ、情熱をかけて訴える。
◇ソチ・オリンピックでもしばしば感動のシーンがあったが、それはアスリートたちが全身全霊を注いで競技する姿への感動だ。シュネムの女は与えられた命を生き、生かすという<人生の競技>において全身全霊を注いでこれに立ち向かった。それゆえの魅力が彼女の姿にあるのだ。
◇この<人生の競技>における最大のハードルは「死」である。しかしそのハードルがキリストの復活によって克服されたという事実によって、未来への希望と、今を生きる勇気が与えられたのである。「キリストが復活しなかったのなら、わたしたちの宣教は無駄であるし、あなたがたの信仰も無駄です」(Ⅰコリント15:14)。
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