2014/9/14　聖霊降臨節第15主日

「最も重要な掟」

マルコによる福音書１２：２８～３４
主任牧師　大村　　栄

　
◇「28:あらゆる掟のうちで、どれが第一でしょうか」という律法学者の問いに対する主イエスの答えは、「29:第一の掟は、これである。30:心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛しなさい」と申命記6:4-5をもって答え、続いて、「31:第二の掟は、これである。隣人を自分のように愛しなさい」とのレビ記の引用も語り、「この二つにまさる掟はほかにない」と言う。これは「十戒」の前半と後半の要約でもある。

◇「何が第一か」と問われたのに、「第一はこれで、第二はこれだ」と答える。つまり一番大切な掟は、一つではないということだ。

◇先週の木曜日は９・１１の１３年目だった。あの頃から「原理主義」という言葉が聞かれるようになった。「あれかこれか」と迷わない宗教的な不寛容が、紛争の原因となった。主イエスの教える信仰は一極集中型ではなく、二つの中心点を持つ楕円形で、少し歪んでいるが、しかしそれがゆえに機械的でない、状況に応じた適応の出来る、生きた信仰となるのだ。

◇しかし楕円の二つの中心、神を敬う事と隣人を愛する事は、緊張関係にある。どちらも大事だが、両者をほど良くこなすなどできない。時には両者は対立して、私たちを悩ませる。

◇両者が一体であって、隣人愛を実践していれば、それが神を愛することになるなら、日曜に礼拝に集うことの意味がなくなる。地方の教会にいた時に、農繁期にも必死に礼拝に集う信徒方がいた。大切な勤めや家庭や、そこに行われる隣人愛にもまさる神への礼拝がある。

◇神は愛する独り子を死なせることによって、本当に世を愛し、隣人を愛するとはどういうことかを示された。それを私たちは主の日ご・ﾆに十字架のもとに立つ教会の礼拝で確認する。

◇主イエス・キリストにおいて、真の隣人愛を教えて下さった神を、私たちは「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして」愛し、その神に従いゆくのである。

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