2016/1/3 −降誕説第3主日(新年礼拝)−
「神の子の栄光」
ヨハネによる福音書1:14〜182
牧師 大宮 溥
◇日本基督教団の主日聖書日課は2016年がD年で、主としてヨハネ福音書のみ言 葉が掲げられている。この福音書の特徴は、序としてイエス・キリ ストの誕生物語でなく、「キリストのご生涯の意味」を述べているところにある。
◇「初めに言(ことば)があった」(1節)。聖書は冒頭に天地創造を記述し、神が 無と混沌に向かって「光あれ」と言われると、その通りに光が輝い たと述べら れている。この世界を造って動かす「神の言」がイエス・キリストだと、ヨハネ 福音書は告げている。この言は天地を造り、世界の歴史を導 き、人間を照らし導 くのであるが、人間が神の許から迷い出ているのを救い出すため、自ら人間とし てこの世に生まれた。
◇「言は肉となって、わたしたちの間に宿られた」(14節)。「言」(ロゴス)は、 宇宙を成り立たせて動かしている法則、原理を意味した。しかし ヨハネは、世 界を成り立たせて動かしているのは、抽象的な法則、原理ではなく、命と力に溢 れた神であり、しかもこの神が「肉」、人間となり、人間 と一体となり、人間 と連帯されたと語っている。
◇「わたしたちはその栄光を見た」。「栄光」は輝きで、イエス・キリストが地上で 生きられることによって「光は暗闇の中で輝い」た(5節)。彼は 人間の貧しさを まとっておられたが、その外被を突き抜けて内なる輝きが漏れ出た(変貌)。これは 信仰の目に今も輝く(ペトロⅡ1:19)。
◇この神の子の栄光は「恵みと真理に満ちていた」。「恵み」とは上から無条件に与 えられる愛、「真理」とは無から存在へと呼び出す力。神が人間と なって我々と 連帯されるとき、人間は神の愛に燃やされ、死から永遠の生命に移される。
◇これまでヨハネは受肉者キリストが人間の救い主であることを語ってきたが、 18節で彼が神がどのような方かを示す神の啓示者であることを語る。 キリスト は神を父と呼ばれた。ここに三位一体が暗示されている。神の愛が外に出て世界 を造り、神と世界との愛の交流が起こる。
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