礼拝説教

2017/8/13

「罪人たちの食事会」
−聖霊降臨節第11主日礼拝−

マルコによる福音書2:13〜17
  牧師 古屋 治雄



◇主イエスはご自分の方に近づいて来る人を見過ごしにされることなく、その人を受けとめてくださり、豊かに働きかけてくださる方です。それだけでなく、事前には接点のない人々をも積極的に招いてくださり、声をかけてくださいます。今日示されている徴税人であったレビの招きはまさにその実例です。

◇ガリラヤ湖北岸に通行税を取る徴税所がありました。そこを主イエスの一行が通り過ぎようとしていました。そこに座っていたレビもきっと誰が通ろうとしているか見ていたことでしょう。そしてローマの手先になって同胞から不正な取り立てをして裏切り者とみられていたレビは、反感に満ちた視線を受けることに慣れていたことでしょう。しかしこの時、「わたしに従いなさい」と仰った主イエスの視線はまったく違っていたと思われます。

◇漁師であったペトロたちを弟子として招く時も同じでした。主イエスはレビが仕事をしている真っ最中であってもそこから呼び出し、従う者としてくださるのです。

◇続いて15節以下をみると、さらに不思議な出来事が起こっています。場面はレビの家に移りそこで「多くの徴税人や罪人もイエスや弟子たちと同席してい」ました。ルカ福音書の平行箇所をみると、レビが「自分の家でイエスのために盛大な宴会を催した」と伝えられています。徴税人レビを招いた主イエスが、レビとその仲間たちに招かれているのです。レビの身に起こったことが、レビ一人のことでなく、仲間たちに“伝染”しているのです。ここに集まった人たちは、ご馳走に吸い寄せられて来た者たちではありません。「実に大勢の人がいて、イエスに従っていた」のです。この人々は、主イエスと一緒にいることによって神の国に生きている喜びを経験することができました。

◇主イエスは、当時の常識を覆して言われました。「わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである」と。主イエスは神の国に招かれるはずのない罪人たちをご自身の責任において招き、そして神の国へ導き入れてくださいました。

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