2017/11/12
「百倍の実りをもたらす神の言葉」
マルコによる福音書4:13〜20
牧師 古屋 治雄
◇主イエスは大勢の群衆が押し寄せている中で神の国の秘密(4:11)を種蒔きのたとえによってお教えになられました。種がどのような地に蒔かれるかによってその後の成長が左右されることは、皆が経験的に知っていることでした。3-9節には、道端に落ちた種、石地に落ちた種、茨の中に落ちた種、そして良い地に落ちた種の四種類のケースが紹介されています。この箇所には信仰に関すること、神の国に関することは何も語られていません。しかし主イエスは種の成長について植物学的見地から話しをなさったのではありません。解り易い話しを題材として真に伝えたいこと、それが神の国の秘密です。
◇13-20節にこのたとえ話しの解説が主イエスによって語られています。種が蒔かれた四つのケースは、主イエスによって語られた神の国到来の福音の言葉がどのように私たちに受けとめられているかがそれぞれ例示されています。一番目から三番目までに紹介されている受け止め方は、とても身近に感じられて身につまされます。私たちにせっかく御言葉を聞くチャンスがあっても、はなから聞く気になれないことがあります。もう少しましなケースとして御言葉に関心をもつことができても一時的であり、辛いことがあると手放してしまうケースも経験します。三番目は御言葉に惹かれつつも自分の欲望の方が優勢となり実を結ぶには至らないケースも私たちは経験済みです。
◇主イエスは、この種蒔きのたとえを通して私たちが御言葉の秘密を受けとめることができないダメな者たちだと非難しておられるのでしょうか。そうではありません。このたとえの中で私たちの常識を越えていることが言われています。それは、良い地に落ちた種の実りの多さです。順調に種が育ってもそれは10倍くらい、よほど多くて30倍止まりです。しかし主イエスがお語りくださる神の国は、主イエスご自身のお力によって100倍にも成長する実りをもたらしてくださいます。
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