礼拝説教

2018/3/18

「主イエスをいさめるペトロ」  -受難節第五主日礼拝-

マルコによる福音書8:31〜9:1
  牧師 古屋 治雄 

◇主イエスは「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」(1:15)と宣言され、それを具体的に人々にお示しくださいました。多くの人々は、この主イエスの働きを目の当たりにして、神が民に約束してくださった最終的な時代、メシア到来の時代が来ようとしていると思いました。それに対して弟子たちは、まさに主イエスによってメシアがこの地上に来てくださった、とはっきり告白しました。ペトロが「あなたは、メシアです」とはっきり告白したことはそのことを示しています。

◇しかし、その主イエスがここではっきりと十字架の死を語られた時、弟子たちは衝撃を受けたと思われます。主イエスの道備えをした洗礼者ヨハネは時の権力者ヘロデに殺されてしまいました。しかし主イエスは神の民を代表するユダヤ指導者たちによって殺されると言われました。すでにこれまでのお働きの中で指導者たちから厳しい批判を受けていたことが伝えられています(3:6)。しかしメシアである主イエスがその犠牲になるなどとは弟子たちは思っていなかったでしょう。

◇主イエスのこの予告に対してペトロがすぐ反応しました。弟子であるペトロが先生でありメシアである主イエスを「わきへお連れして、いさめ始め」(32節)たのです。メシアである主イエスが十字架で死なれることを受け入れることができないペトロは、私たちすべてが「神のことを思わず、人間のことを思っている」(33節)者であることを露呈しています。

◇そのペトロに「サタン、引き下がれ。」と言われた主イエスの厳しい叱責は、同時に主イエスの全権がここで発揮されている言葉です。「引き下がれ」は「わたしの後ろに去れ」という意味です。そして、主イエスは弟子たちだけでなく、群衆もこの叱責と同時に主イエスの支配下に「呼び寄せて」おられます。弟子たちはこの主の力を受け、十字架の死の後、甦られた主に出会うことができ、復活された主を伝える者とされました。
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