2019/3/17ー受難節第2主日礼拝ー
「神の子としての品格」
ローマの信徒への手紙5:1〜5
協力牧師 中野 実
◇新しい聖書協会共同訳聖書では、本日のローマ書5:3-4は、「苦難が忍耐を生み、忍耐が品格を、品格が希望を生む…」と、「練達」が「品格」になっています。この名詞のもとになっている動詞は、「何かが本物であるかどうかを吟味する」あるいは「何かを練り、鍛えて、本物であることを証明する」という意味です。従って、その道を究めるというような「練達」も良く、人格が練られ、鍛えられて形成された「品格」も魅力的です。忍耐から備わった品格によって、希望が生じるとなるからです。
◇ここで、「主イエス・キリストによって神との間に平和を得て」(5:1)いるが大事なポイントです。自己理解のために座標軸を考えると、縦軸は神との関係で横軸は人との関係です。人との関係では破れが存在していても、神との平和が確立されているのです。耐えられない試練に遭わされないのです(1コリント10:13)。
◇ジョン・キーツのnegative capability「消極的な能力」は大好きな言葉です。これは「分らなさに耐える能力」で、信仰から来ます。神様は真実な方であり、その方の主権が全てにおよんでいることを信頼しているからです。これが神の子としての「品格」です。
◇自分の力で生きることをやめ、神の力に100%頼ろうとすることは負け組と見られるでしょうか。けれど、人生の座標軸の縦軸で、神との平和と和解が実現しているからこそ、横軸の他者や自然との関係で、さらに、自分自身との関係にも向き合っていくことができるのです。
◇もちろん簡単なことではありません。パウロの言葉で、「弱いときにこそ強い」の後で、「キリストがあなたがたの内におられる」(2コリント12:10,13:5)とあります。十字架と復活で、罪と死に打ち勝ったイエス・キリストがおられるのです。私たちには誇るものがありません。けれど、神が働いておられるのです。100%神の力に頼る神の子の品格を発揮できる新しい年度となるように、祈りながら進んでまいりましょう。
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