2020/06/07
「私たちに神の救いの歴史が働いている」
使徒言行録7:30〜38
牧師 古屋治雄
◇私達はイエス・キリストを通して現してくださった。目に見えない神様の救いの力が脈々と教会に注がれ、聖霊が注がれ、それによって生かされていると信じている。
◇使徒言行録を見ると、圧倒的な聖霊の注ぎを受けて弟子達は立ち上がり伝道を開始したが、その前に大きな壁が立ちはだかった。しかし、弟子達をつき動かしているのはキリストの力そのものである。キリストを実感し、キリストを経験していることが弟子達のすべての活動の基盤であり、教会を担う源となっていた。
◇6章から新しく登場するステファノは復活の出来事に直接接していなかったが、使徒達の語った福音によってイエス様を信じる者とされた。7章にステファノのとても長い説教が展開されている。ステファノは彼が告発された緊張感のある場面にも関わらず、旧約聖書の創世記から説教を語る。そして、出エジプト記に移り、モーセがどのように登場したかを語る。
◇どうして創世記から始めたのか。ユダヤ人は自分達が大事にしてきた律法も神殿も大事にされておらず、自分達が否定されているように思った。モーセが神の民である自分達に神の律法を授与してくれた大事な人であるのに対し、ステファノはモーセを解放者、預言者と語っていることに注目させられる。
◇イスラエルの民は自分達に特別に注がれた神様の恵みと畏れをもって受け止め、応えてきたか、それを問い掛けるのが預言者の役割であった。彼等は預言者の言葉に頭を垂れて懺悔を表し、神様の赦しを乞のではなく、律法を神様の呼び掛けというよりも人々を規則によって当てはめ、それを守っているかどうかの判決文を渡すようなことをしている。ステファノは律法の一部である申命記を引用して、あなた方は律法をないがしろにしている、と呼び掛ける。
◇イエス・キリストの福音に生きることこそイスラエルの歴史を、神様の救いの歴史を本当に生きることになる。私達もステファノの説教を通して預言者的な伝統を新たに奮い立たされ、神様の救いの歴史の中にその足場をしっかりと設けて立ち続ける者とされたい。
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