2020/12/6-待降節第2主日礼拝-
「ダビデの子孫から救い主が」
使徒言行録13:13〜23
牧師 古屋 治雄
◇今日の聖書箇所ではパウロたちの第一回の伝道旅行が伝えられているが、パウロたちはキプロス島での伝道を終え、小アジアの内陸にあるアンティオキアに入った。シリアのアンティオキアと区別するためにピシディア州のアンティオキアと言われている。この町にはユダヤ人も大勢住んでいたようで、パウロたちはここでの伝道をユダヤ人の会堂を中心に展開している。後にユダヤ人にパウロが拒まれるが、まずユダヤ人への呼び掛けを重視していたことが分かる。
◇ここでパウロはユダヤ人がよく知っている出エジプト記から列王記までのイスラエルの歴史を語っている。これにはパウロの意図があった。この歴史は民の不従順が露呈しても神様がこの民を支え導いて下さった歴史でもある。神の民がどういう歩みをしてきたかを語らなければ神様の救いの御計画は語れない。ステファノも歴史を語ったが、パウロと違い、神の民がいかに神様に背いてきたかを語った。パウロは民の背きにもかかわらず、神様が選び出し、導き出し、忍耐なさって、その尊い導きによってイエス様へと結ばれ、決定的な救いの出来事が起こったことを語った。
◇神の民の歴史と世界の救い主を宣べ伝える教会の歴史の結合点にイエス・キリストがおられ、クリスマスの出来事がある。イエス様がお生まれになる前のことをマタイは系図を示すことで述べ、ルカはユダヤの民を代表する形で祭司ザカリアを紹介している。いずれも御子イエスのご降誕が突然の出来事ではなく、神の民の歴史が御子イエスの到来へと結集し、決定的な救いの出来事が起こり、ここから神様の新たな救いの歴史が世界に広がると伝える。聖書は神様が私たちにお示し下さっている救いの物語であり、その中でクリスマスの出来事は旧約聖書と新約聖書を結ぶ物語である。
◇クリスマスは神様が私たちに出会って下さったことを顧みる時であり、自分の人生には意味がある、決して闇の中に放置されてはいない、と気付くチャンスでもある。ヨハネが告げた「すべての人を照らす真の光」をゆたかに受けて今週も歩みたい。
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