礼拝説教


2021/02/14

「偶像ではなく生ける神に」

使徒言行録14:8〜20
牧師 古屋 治雄

◇今朝は97周年の創立記念日礼拝を捧げている。創設の平岩愃保牧師の伝道の様子が八十年史にまとめられている。困難を極めた伝道であったが、次第に門戸が開け、入信者が与えられた。聖書の話を聞いたことのない人々にどのように福音を宣べ伝えたのであろうか。

◇今日の聖書箇所でパウロはリストラの町の会堂でないところで話した。パウロはこれまで訪れた町ではユダヤ人の会堂で、主イエスの十字架の死と復活によってすべての人々が神様の永遠の命の中に招かれていることを語り伝えた。この異教世界でのパウロの伝道は平岩牧師の働きに通じるところがある。

◇パウロはまず一人の足の不自由な人と出会った。彼はパウロの話すのを聞き、パウロは彼を見つめてふさわしい信仰があるのを認め、短時間であってもここに密接な交流が生まれた。宗教的指導者の人格が深くその教えを聞く者に影響を及ぼし、その言葉が重要な意味を持つ。そしてキリストがこの人を神様の恵みの中に新しく生きる者としてくださった救いの出来事が起こった。

◇この奇跡によってパウロとバルナバは自分たちがギリシャの神々のように扱われて驚き、福音を世界に新しく呼びかけてくださっている神様のことを語らずにはいられなかった。15節の言葉は日本のような様々な偶像礼拝が生活習慣の中に根を下ろしている社会にあって新しい伝道の視点を示す言葉である。伝道は徹底して言葉による呼びかけである。

◇今日の箇所ではイエス・キリストの十字架の死と復活による救いの出来事が直接的には全く語られていない。ここでは広くこれまでの時代が過ぎ去り、すべての人々に恵みを注ぎ、人々の生活に幸いと喜びをもたらしてくださる時代がきていることを大胆に語っている。リストラでパウロが異教礼拝の中で経験し、語っている言葉は100周年を目指して歩む阿佐ヶ谷教会が大いに参考にすべき出来事である。

◇平岩牧師の時代の主日日程はイエス一代記の講話、礼拝、午後から自由質問の時間であった。こうして使徒信条を守りつつ、この福音に根をおろしてパウロのように伝道していきたい。
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