礼拝説教


2021/12/19ー降誕祭礼拝ー

「飼い葉桶から世界を見たもう主」

ルカによる福音書2:1〜7
牧師 古屋 治雄


◇コロナの状況下で私たちは、一堂に会することができず、3回に分散してクリスマスを祝っている。人数が減ったからといってクリスマスの喜び、その波及力は減らない。むしろ原点に帰っているのである。最初のクリスマスに集まった人々は限られていた。その人たちはそれぞれ大切な役割を与えられ、喜び、高らかに賛美したのである。

◇イエス様の誕生は、ローマ皇帝が支配する時代の出来事である。皇帝から全領土の人口調査をせよとの命令が下る。例外はない。マリアは身重であっても登録をするために旅に出なければならない。宿屋には泊まる場所がない。ヨセフはダビデの血筋であるのに、ユダヤの民からはじき出されたのである。家畜小屋での出産は、危険で、救い主にふさわしくないことであった。

◇イエス様の誕生の知らせは、ベツレヘムの町なかではなく、寒さに震え、安眠できない羊飼いたちのところに、天使によって告げられた。彼らはこの不思議な知らせに驚きながらも、勇気を与えられて確かめに行き、探し当てた。こんな所に、へりくだった形で、みどりごの姿でお生まれになったこの方こそ、真の救い主であることを理解した。そして神をあがめ、賛美しながら帰って行く。

◇クリスマスの讃美歌には「飼い葉桶に眠る」という内容のものが多い。このルカによる福音書2章にも「寝ている」や「寝かせる」が3回出て来る。これは本来、「眠っている」を意味せず「置かれている」に当たる言葉である。イエス様は飼い葉桶の中で、目を閉じて眠っておられるのではない。そこから世界を見ておられる。私たちの世界にはつらいこと、厳しいことがある。そのただ中に私たちが生きているということをイエス様が見て、知っていてくださる。私たちはそういうことに気づかされる。イエス様が来てくださったその意味に気づかされるのである。あの羊飼いたちと同じ喜びを、私たちも経験することができる。クリスマスの出来事はそのように私たちに呼びかけている。その喜びに押し出されて、ここから新たな歩みに進んで行きたい。

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